「日経平均」と「TOPIX」の違いとは?
株式投資を始めると、よく聞く言葉に「日経平均」と「TOPIX」があります。これらはどちらも日本の株式市場の動向を示す指標ですが、その算出方法や意味合いには大きな違いがあります。この記事では、「日経平均」と「TOPIX」の違いについて、わかりやすく解説します。
「日経平均」とは?
「日経平均」とは、日本経済新聞社が算出する株価指数の一つです。正式名称は「日本経済新聞平均株価」で、略して「日経平均」と呼ばれています。1950年に創設された歴史ある指標で、現在は東京証券取引所第一部に上場する225社の株価をもとに算出されています。
「日経平均」の算出方法は、225社の株価をすべて足して225で割るという単純なものです。ただし、株式分割や増資などによって株価が変動した場合は、その影響を除くために「分母調整係数」という補正値をかけます。この補正値は、日経平均が始まった時点で1と定められており、現在は0.01程度まで下がっています。
「日経平均」の特徴は、225社の中でも株価が高い企業の影響力が大きいということです。例えば、2021年10月29日の終値では、トヨタ自動車の株価が8,600円でしたが、ソフトバンクグループの株価は1,300円でした。この場合、トヨタ自動車の株価が100円上昇したら、「日経平均」は0.44ポイント上昇しますが、ソフトバンクグループの株価が100円上昇したら、「日経平均」は0.06ポイントしか上昇しません。つまり、「日経平均」は、高額株の動きに敏感な指標と言えます。
「TOPIX」とは?
「TOPIX」とは、東京証券取引所が算出する株価指数の一つです。正式名称は「東証株価指数」で、略して「TOPIX」と呼ばれています。1969年に創設された比較的新しい指標で、現在は東京証券取引所第一部に上場する約2,200社の株価をもとに算出されています。
「TOPIX」の算出方法は、「時価総額加重平均」というものです。時価総額とは、株価に発行済み株式数をかけたもので、企業の規模を表します。「TOPIX」では、各企業の時価総額をすべて足して、その合計を基準値で割ります。基準値とは、「TOPIX」が始まった時点で100と定められたもので、現在は約2,000程度まで上がっています。
「TOPIX」の特徴は、時価総額が大きい企業の影響力が大きいということです。例えば、2021年10月29日の終値では、トヨタ自動車の時価総額は約30兆円でしたが、ソフトバンクグループの時価総額は約6兆円でした。この場合、トヨタ自動車の株価が1%上昇したら、「TOPIX」は0.14ポイント上昇しますが、ソフトバンクグループの株価が1%上昇したら、「TOPIX」は0.03ポイントしか上昇しません。つまり、「TOPIX」は、時価総額の大きな企業の動きに敏感な指標と言えます。
「日経平均」と「TOPIX」の使い分け
「日経平均」と「TOPIX」は、それぞれ異なる算出方法や特徴を持つ株価指数です。では、どちらを参考にすればよいのでしょうか?
一般的には、「日経平均」はメディアや一般投資家によく知られており、日本の株式市場全体の雰囲気を表す指標として使われています。「TOPIX」はプロの投資家や機関投資家によく使われており、日本の株式市場全体の実態を表す指標として使われています。
しかし、どちらも完全に正確な指標ではありません。「日経平均」は高額株に偏っており、225社というサンプル数も少ないため、市場全体を代表するとは言い難いです。「TOPIX」は時価総額に偏っており、約2,200社というサンプル数も多すぎるため、市場全体を反映するとは言い難いです。
したがって、「日経平均」と「TOPIX」は、それぞれの特徴や傾向を理解した上で、補完的に使うことが重要です。
まとめ
この記事では、「日経平均」と「TOPIX」の違いについて解説しました。以下に要点をまとめます。
「日経平均」と「TOPIX」は、日本の株式市場の動向を示す指標です。
「日経平均」は225社の株価を単純平均して算出される指標で、高額株に敏感です。
「TOPIX」は約2,200社の時価総額を加重平均して算出される指標で、時価総額の大きな企業に敏感です。
「日経平均」と「TOPIX」は、それぞれの特徴や傾向を理解した上で、補完的に使うことが重要です。