企業価値(EV)とは
企業価値(EV, Enterprise Value)とは、企業が生み出す将来のフリーキャッシュフローを割引いた現在価値のことを指します。ここで、ネット有利子負債は有利子負債から、すぐにキャッシュにできるものを差し引いた金額であり、株式時価総額は発行されている株式の時価による価値です。経済産業省の企業価値研究会では、「会社の財産、収益力、安定性、効率性、成長力等株主の利益に資する会社の属性又はその程度」と定義しています。企業価値は、企業の財産や収益力、安定性、効率性、成長力などを総合的に評価する指標となります。
EVの算出式は何ですか?
企業価値(EV)の算出式は以下の通りです。
EV = 株式時価総額 + ネット有利子負債
ここで、株式時価総額は企業の発行済株式数に株価を掛けた金額であり、ネット有利子負債は有利子負債から非事業資産価値を引いたものです。
EVを用いたM&Aのメリットとデメリットは何ですか?
M&Aにおける企業価値(EV)の算定には、多くのメリットとデメリットがあります。EVを用いたM&Aのメリットには、以下のような点が挙げられます。
メリット
1. キャッシュフローの創出力を反映: EV/EBITDA倍率はキャッシュフローの創出力を反映し、M&Aの成果を評価する際に有用です。
2. 複数事業を持つ企業の評価に適している: 複数事業を持つ企業の評価に適しており、企業の多角的な価値を考慮できます。
3. 特別損益の影響を受けない: 特別損益の影響を受けず、安定的な評価が可能です。
一方、EVを用いたM&Aのデメリットには、以下のような点があります。
デメリット
1. 株式相場の変動に影響を受ける: 株式相場の変動が激しい場合、企業価値の評価に影響を及ぼす可能性があります。
2. 特定の手法に依存しない必要がある: 単一の評価方法に依存せず、複数のアプローチで評価する必要があります。
これらのメリットとデメリットを考慮しながら、M&Aにおける企業価値の評価を行うことが重要です。
EVが高い企業と低い企業の違いは何ですか?
EV(企業価値)が高い企業と低い企業の違いは、主に以下の点にあります。
1. 収益力と成長性: EVが高い企業は、将来の収益力や成長性が期待されており、市場からの評価が高い傾向にあります。一方、EVが低い企業は、収益力や成長性が低いと見なされることがあります。
2. M&A価格や売却可能性: EVが高い企業は、M&A価格が高くなる可能性があります。また、売却可能性も高まることがあります。逆に、EVが低い企業は、M&A価格が低くなる可能性があり、売却が難しい場合があります。
EVの高低は、企業の将来の収益力や成長性に関連しており、M&Aや売却の際にも重要な要素となります。
企業価値(EV)の投資への影響は
■企業価値(EV)は、企業の実際の価値を示す財務指標であり、買収や投資判断において重要な要素である。
■企業価値を高めると株主や投資家からの評価が上がり、株価の上昇や新規株主の獲得が期待できる。
■EV/EBITDA倍率は、その企業への投資効率を判断する指標であり、競合の海外企業と比較することで事業を成長させることができる。
■EVは主に企業を買収する際の買収額の目安になり、企業価値は企業が保有するすべての資産価値を合計したものである。
■EV/EBITDA倍率は、投資判断の目安として用いられるが、EVがマイナスの場合やEBITDAがマイナスの場合には適切な判断ができない場合がある。
EV(Enterprise Value)を用いた投資のリスクは何ですか?
EV(Enterprise Value)を用いた投資のリスクは以下のように考えられます:
1. 企業価値との混同リスク: EVは本来「事業価値」を指すものであり、一方で「企業価値」と混同されることがあります。この混同により、投資判断が誤った方向に進む可能性があります。
2. 財務要素の変動リスク: EVは株式時価総額にネット有利子負債を加えたものであり、財務要素の変動によって投資先の価値が変動するリスクがあります。
これらのリスクを考慮しながら、投資家は慎重にEV関連投資を検討する必要があります。